2022/05/08 20:32

パリは景色や建物など景観が美しいが、一方では道端にゴミが落ちていたり、

子どもの集団のスリがいたり(もちろん大人も)、道を歩いている時も気が抜けない。

パリはひったくりも多いと聞いていたから、いつも細心の注意を払っていたが、

ある日、道でスマホを見ながら歩いていたら、後ろから走ってくる人からスマホを盗まれた。

呆気に取られて、いったい何が起こったのか分からなかった。

パリに長年住む友人からは、このような場面で追いかけて行ったらナイフを出された・・・

という話も聞いていたから、怖くて追いかけられなかった。

盗まれたスマホは、長年使用していた画面がバキバキに割れている

 i phoneだったので、なんとなく諦めがついた。

パリに来て早速洗礼を受けた私だったが、

喉元過ぎれは熱さ忘れるとはこういうことで、次には大事なアレを盗まれることになる。

忘れもしない、8月の暑い夜だった。

私は仕事終わりに友人3人とカフェで夕食を摂っていた。

お酒も飲んで、楽しい週末の夜を過ごしていた。

さて、帰ろうかとなった時に、私のリュックがなくなっていることに気がついた。

3人もいたのに、盗まれていたことに誰も気づかなかったのだ。

リュックの中には財布とパスポートの他、縫製の道具が入っていた。

財布は前日に蚤の市で買ったばかりの物だった。

リュックも日本の友人がパリ出発の餞別にと贈ってくれた思い入れのある物だった。

どれも私にとっては大事な物ばかりだ。ショック!

リュックだけでも帰って来ないかと、

周辺の道路やゴミ箱を探して回ったが結局出てこなかった。

この不測の事態にどうしようかと頭を抱えるところであるが、

友人たちが助けてくれた。

早速パリ警察署に行き、事情を説明する。

しかし、その日は飲酒をしているから手続きはしてもらえなかった。

しかたがないが、なかなか厳しい規則だ。

翌日、もう一度警察署を訪れた。

難しいフランス語が分からない私のために、

友人は付き添ってくれた。感謝しかない。

パスポートの再発行は警察署から盗難の証明書を出してもらい、

それを持って日本大使館に行かなきゃいけないという。

証明書は1週間後に発行されるとのこと。

どこの国も役所仕事は時間がかかるのだ。

ようやく受け取った証明書と共に今度は日本大使館に行った。

ここは日本語で対応してくれてホッとしたのを覚えている。

今度はパスポート再発行のために、戸籍謄本が必要であるとのことだった。

急いで日本の妻に連絡をして、送付の手続きを取ってもらった。

数日後に書類が全部揃ったら、今度はパスポート用の写真は大使館で撮ってもらった。

このドタバタの中に撮った写真のため、大変やつれた顔をしている。

10年パスポートだったため、この疲れ切った幸薄顔と10年付き合うことになる。

本当にトホホな出来事だ。

手続きはちょっと大変だったが、無事にパスポートは再発行された。

この話は軽い方で、人によってはむりやり服を裂かれて物を取られたり、

メトロの中で子どもの集団に囲まれてわちゃわちゃしている隙にスリに合ったり、

バックを破かれて物を盗られたなど、色々な事件について話しを聞いた。

そう考えると日本は街はきれいで、ゴミや犬の糞が落ちていることはほとんどないし、

歩いていて持ち物を盗まれることはそうない。

長年住んでいると日々も不満もあるけど、本当に平和な国だなと思うのである。

ちなみに、パリでスリに遭いやすい人の特徴は、背が低く、ひ弱そうな(優しそうな)人のようです。

私は少しでも強く見せるために、髭を伸ばしていました。(完全なる気休め)

みなさんも気をつけて!