2022/04/24 19:30

今日はパリでの仕事の話をしようと思う。

ところで、洋服が店頭やWEBショップなどに並ぶまでには

作り手の長い道のりがあるのは知っているだろうか。

まずはデザインを決め、生地を決め、商品のおおよその値段を決め

パターン(型紙)を作成し、資材を発注し、サンプルを作成する。

サンプルを元に、理想の形になるまで修正を繰り返す。

そして、出来上がった商品を顧客やバイヤーに披露する。

それを【展示会】と呼ぶ。

展示会で商品を買ってもらい、それが店頭に並ぶという仕組みだ。

私は日本にいる時は、資材の発注やサンプル作成の依頼をするような

事務的作業をする業務についていた。

生産管理と呼ばれる仕事だ。

この仕事は地味ながらも、洋服作りにおいては重要で、とてもやり甲斐は大きい。

しかし、私の性格には全く合わない仕事であった。

(私に会ったことがある人なら、よく分かるだろう。)

そんな私はいつしか、自分で洋服作り(クリエイトする)をしたいと思うようになり

その熱い思いを持って、パリへ向かったのだった。

私が弟子入りしたメゾンは、パリのアトリエでパターン(型紙)を引き

仕様書(絵型)を書き、仕様書を見ながら生地を選定するという

特殊な方法で洋服作り進行をしていた。

商品に使う生地はパリでの生地屋で買うもの

日本の生地屋で買うものと半々ぐらいであった。

パリで集めた資材を日本にまとめて送り、日本の工場で縫製する。

そして、出来上がってきた物をフランスに送ってもらい完成となる。

どの商品を取っても、なんとも手間ひまがかかった物だ。

その洋服作りの現場では、師匠からパターンの引き方なども教わっていたが

もっぱらの私の仕事は資材集めであった。

パリの生地屋はアトリエから歩いて行けるところにあった。

そのお店は店頭以外にも大きい倉庫を持っていて、

そこから自分たちが欲しいと思ったものを買っていくスタイルだ。

IKEAを想像してもらえれば分かりやすいと思う。

日本で仕事していた時は、生地カウンター(生地のカタログのようなもの)

から生地を選ぶことが多かったから、とても新鮮だった。

たまに日本の生地も置いてあったりして、なんだか感激した。

(SOTOHって書いてあった。同業者には分かるネタ。)

クリニャンクール(蚤の市)では、アンティークのボタンなどを買う機会もあった。

資材集めとは、一見使いパシリのような仕事に思えるが、実際はかなり勉強になった。

100年以上前の物に出会えたりする機会があるのだ。

パリという街は歩けば、古き良き物に出会える街だと実感した出来事であった。


最後にここのお店でよく生地買ってたなー。