2020/10/12 20:32

デザイナーを志望していた私であったが、私はスタイリストの弟子になっていた。

初めて呼ばれたのが雑誌の撮影だった。

師匠(前回のブログ参照)の特集ページで雑誌のスタイリングを組むという撮影だった。

撮影現場に行く事自体が初めてで、とても緊張したのを覚えている。

数人のモデルが入れ替わり立ち代わりで着替えて撮影して行く中、私たちは着る洋服のアイロンがけから、

着替えやすいように準備をしたり、埃取りのコロコロをかけたりなど作業に追われていた。

撮影が始まると、次から次へとモデルが着替えにくるため、私は無我夢中で作業をこなしていた。

その撮影終わりに、師匠から呼び出され、「どうだやっていけそうか?」

と聞かれ、私は迷わず「はい!と返事をした。

「そうか!じゃあその場で腕立て50回しろ。」と言われた。

「え・・・」と思ったものの、後に引ける状況ではなく、

そのままその場で腕立てを50回し、アシスタント生活が本格的に始まっていく。

(今はどうかわからないけど、昔は師弟関係とはかなり体育会系だった。。。)

後日談ではあるが、初めての現場での様子を見て、アシスタントにするかテストをしていたそうだ。

アシスタントの仕事は、毎日朝8:00に出勤し、夜はだいたい0:00前に終わる。

週に一回はレギュラーのテレビの撮影があり、その撮影のために前日に洋服をリースし、

夜にアイロンなどをかけて準備をし、撮影から帰ってきたら、次の日に返却ができるように準備をする。

意外と体力勝負なところもある。

テレビや雑誌の撮影以外にも師匠の元にはたくさんの仕事が入るため、

アシスタントみんなで協力して、仕事を回して行く。

当時、アシスタントは全員で7人いた。

その中でも男のメンバーは師匠の家の近くに下宿することになる。

家の掃除などの家事、スタイリングの仕事、庭の植木を植えたり、師匠と寝食を共にするという感覚である。

そういう環境の中で、師匠の思考過程を側で見て、技術を盗み(良い意味で!)、皆独立して行くのだ。

アシスタント業務が上手な女性よりも、師匠と寝食を共にしたいた男性の方が売れっ子になる・・・という都市伝説もあった。

この都市伝説については、今でも解明されていない。