2020/08/09 17:09

私は洋服が好きだ。

洋服を着ることで、新しい自分になれるからだ。

とはいえ、オシャレであるかと言えばそうではない。

その時代に一番好きだ!と思っている服を着ている。

周りから見れば奇抜な服装かもしれない。(現に妻からも常に指摘されている)

けど、いつも新しい自分になれるのが洋服だ。(コスプレも同じような考えだと私は思っている)

中学校、高校時代、田舎町で育った私は周りの友人や先輩達に影響されて、B-BOYみたいな格好をしていた。

頭にバンダナ巻いたりドゥーラグを巻いたり、ニューエラのキャップをかぶったり。

上下ダボダボのセットアップを着たりしていた。

その当時は最高のオシャレだと思っていた。(今でもカッコイイと思っている。)

高校卒業して特にやりたいことが何もなかった私は、地元の工場に就職した。

来る日も来る日も窓枠を作る、ファッションとは無縁の溶接の仕事をしていた。

仲の良かった友だちは県外に就職し、仕事場と家の往復の毎日で、楽しみと言えば車でドライブをすることだった。

私には2人の姉がいる。

4つ歳の離れた長女と2つ歳の離れた次女。

どちらとも仲は良かったが、次女とは年齢も近く、相談や話もしたし、色々な事を教えてくれ、影響を受けていた。

ある日次女が、「社会人になったし、そろそろ大人の格好をした方が良いじゃないか」と、私にメンズノンノを見せてくれた。

当時、松田龍平さんがモデルとして活躍していて、「わあ。カッケー!」と、単純な私はすぐに影響を受けた。

そして次の休みに、今まで行ったことのなかった、セレクトショップに行くことにした。

ショップ店員に勧められるがままに、試着をし、いくつか服を購入した。

(当時、実家暮らし、無趣味の私は多少のお金を持っていたのだ。)

メンズノンノを意識したスタイリングは、自分が少し大人になったような、オシャレな人になったような気がして、気分が高揚した。

良い気になった私は、毎月数万円を洋服に使うようになった。

毎日いろんな洋服を着るのが楽しくなり、隣県のショップでコムデギャルソンとYsのシャツのようなデザイナーズブランドまで買うようになった。

数ヶ月前はデザイナーズブランドなんて知らなかった私が大進歩である。

買うことに飽き足らず、自分でデニムの生地を買ってパンツを作ったり、

ヒッコリーのオーバーオールをリメイクしたり、今度は「作ること」が楽しくなった。

ほんの半年前まで無趣味のしがない工員だった私が好きなことを見つけた瞬間だった。

今までは人に影響され、すぐに飽きてしまうことが多かったが、服作りは違った。

理由は一つ。洋服作り、着ることは新しい自分になれるからだ。それ以外はない。

何もやりたいことがなかった自分を変えてくれたのが、洋服だった。